医薬品や医療機器、健康食品の開発において、臨床試験は必要不可欠です。しかし世界の治験の90%は予定通りに完了しておらず、うち70%は被験者が予定通りに集まらないことで遅れていると言われています。それは日本も例外ではありません。
また、昨今治験は治療の選択肢の一つというだけでなく、自覚症状が少ないことや認知度が低いことにより医療機関に通院していない潜在的な患者を対象とした治験も多く実施されており、治験の被験者募集は病院の外に向けても広く情報提供されています。
より多くの方に臨床試験に参加して頂くことで臨床開発は予定通りに実施され、最新の医療がいち早く国民に提供されることとなります。臨床試験や治験に参加する事は、現代のみならず、将来の社会に貢献する、とても重要で尊い活動になります。
しかしながら、日本において「治験・臨床試験」という言葉を調べてみると「高額アルバイト」「人体実験」「不安・怖い」など、ネガティブなイメージを与える言葉が多く出てきます。それらは間違った情報であったり、極端な表現であったりしますので、まずは治験について、正しい理解をしてもらいたいと思います。
治験の被験者募集に係わる情報提供をする際には、被験者候補の方に誤った情報を与えないようガイドラインが定められています。
日本製薬工業協会「治験に係わる被験者募集のための情報提供要領」(http://www.jpma.or.jp/about/basis/guide/pdf/200811-information.pdf)
しかしここ数年、情報提供の媒体としてインターネットやSNSが多く利用されていく中で、情報発信側のメディア関係者は製薬協ガイドラインを十分に理解しないままに情報掲載を行っている場合もあり、誤った表現での情報提供がなされることが少なくありません。
〈誤った表現の例〉
・高額治験アルバイト
・絶対に安全です
・△△病に効果がある薬の治験です
こうした誤った広告表現によって、治験へのネガティブな情報や解釈が広まると、社会的に治験のイメージは低下し、日本での治験実施が停滞・遅延する可能性もあります。本来、治験に参加されることは、とても社会貢献性の高い活動です。参加される皆さんご自身も、アルバイトに参加するというような感覚ではなく、ご自身やご家族、将来の患者さんのために行っている活動であると、誇りをもっていただけるととても嬉しく思います。
私たち日本PRO協会は、誤った治験のイメージを広めかねない広告や記事を減らすべく、「治験の被験者募集に係わる情報提供自主ガイドライン」を策定し、国内における治験に係わる被験者募集のための情報提供の最適化を目指しています。
もし、間違った治験広告が掲載されていることに気づいたら、当協会に情報提供をお願いします。
広告内容の確認を行わせていただき、必要となる対応を検討いたします。