1999年12月、日本で初めて治験の被験者募集広告が科学雑誌に掲載されました。インフルエンザを対象とした治験の被験者募集広告でした。その翌年から有名女優を起用したうつ病や骨粗鬆症を対象とした治験の被験者募集広告が日刊紙に掲載されるなど、被験者募集広告は新聞広告を中心に次々と展開されて行きました。
その時、被験者募集広告を見た方からの応募を受け付けるコールセンターで電話対応をしていた私は、より良い薬の開発に情熱を込めて取り組んでおられる製薬企業の方々の熱い思いが、治験に参加する側である患者さんへ届きにくい仕組みになっている事を知りましました。
また、1997年に新GCPが定められて以来、治験の空洞化が問題になっていました。そこで、製薬企業ではない、医療関係者でもない一般の立場の私達が、同じ立場である被験者となりうる方々に向けて、治験の仕組みや必要性を伝え、同時に治験の実施情報を広く伝えていく事で治験空洞化解決の一助となれるのではないかと考えました。
それから約20年の時が流れ、新しい時代、令和が始まると同時に、被験者を募集する立場の者が想いを一にして協力し合い、被験者募集業務の質を高めて行こうという共通の目的を持って日本PRO協会が発足いたしました。
新しい薬や医療機器を創り出す治験には様々な側面が密接に関わっています。学問、医療、社会貢献、商業、そして何より人権の尊重です。それぞれの側面すべてに配慮しつつ私達日本PRO協会は、日本の治験が円滑に進むよう、治験を実施する人と治験に参加する人の間に橋を架け続けて参ります。
皆様のご指導、ご鞭撻の程何卒宜しくお願い申し上げます。
「治験の被験者募集に係わる情報提供自主ガイドライン」(以下、本ガイドライン)は、2019年(令和元年)5月に、日本PRO協会より公開を行った。
本ガイドラインは治験に係わる情報提供を行う立場となる者の参考となっている、製薬協(日本製薬工業協会)が平成20年に公開した「治験に係わる被験者募集のための情報提供要領<改訂版>」(以下、「製薬協ガイドライン」という)を補うものである。
現行の製薬協ガイドラインをベースに、具体的な情報提供の際の表現や考え方について補記する事で、治験に係わる業界関係者はもとより、告業界等で治験の被験者募集の情報提供に係わる人に理解しやすい内容とし、国内における治験に係る被験者募集のための情報提供の適正化を目的としている。
本ガイドラインが業界関係者のみならず、治験に係わる被験者募集のための情報提供に関係する人に活用いただける事を望む。
※本ガイドラインは具体例を記載する事で、より多くの方にとって有用なものとしていきたいと考えています。
実際に治験の被験者募集に係わる情報提供を行う際の疑問や本ガイドラインに追記して欲しい内容などがあれば、ご意見をお願いいたします。
皆さんからの疑問や更新要望を当協会として取りまとめ公開を行い、ある程度まとまった段階で、ガイドラインの更新を行います。
問い合わせ先:info@ja-pro.jp